深夜0時過ぎの、週末から。

誰かがレコードをかけた。

足元が、身体が動く。

下半身で踏んだ地面が、うねりを伴って上半身と繋がる。

音楽で踊る。
たくさんの路上で、酒場で、BARで、CLUBで、

見境なく手と手を取って呑んだ、

そのグラスの底から聴こえてくる、

幻聴のような、賛歌のような、祝祭のような、

音楽で踊る。

その頃、ターンテーブルの前では、

偏執症(=PARANOIA)の患者が紡ぐレコードが、

ずっと回転していて。

いつ来てもいいし、

いつ帰ってもいいはずなのに。

ついつい、もう一杯呑む、午前５時。

帰り道、乗り過ごした朝の終着駅。

駅員が酒臭いわたしを起こすために

肩を叩いて身体を揺さぶった。

そのリズムは、あの時誰かがかけたレコードと、

よく似ていた。

多分。

.

.

.

text

by

NOB

(BOOK DEPT F.A.Z)